暫定ブロードキャスティング

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●変態王子と笑わない猫。 (MF文庫J ライトノベル)

民法93条 心裡留保

意思表示は、表意者がその真意にあらざることを知りてこれをなしたるためその効力を妨げらるることなし。ただし、相手方が表意者の真意を知り又はこれを知ることを得べかりしときは、その意思表示は無効とす。





contents

変態さんとわない猫

何かがびだれかが不幸

妖精さんはらない

しむ前に声を出せ

な王の斃し方

変態さんと、今はまだ―






●ストーリー

とある森の中にひっそりと放置されている笑わない猫像。
その奇天烈な外見ゆえか、お供え物と引換にひとつだけ願いをかなえてくれるという噂が流れていた。


ある夜、その猫の前でバッタリと出くわした少年と少女はともにその猫に願いをかける。

「わたしはもう少し大人になりたいです。すぐに泣いたり怒ったりしないで、本音の感情を隠せるような」

「建前や、嘘やごまかしを言うことがなくなりますように」

ふたりの願いは叶えられ、感情豊かだった少女は表情をなくし、迸るパトスを隠す建前をなくした少年は変態王子と称されることになる。
願いは叶えられたのに、何もうまくいかない二人。

そこで二人はある約束をする。
少年は少女の表情を取り戻すため、少女は少年の建前を取り戻すために力を貸すという約束を。

意思の疎通に問題を抱えながらも、互いを理解し合いながら、失った物を取り戻すための小さな戦いが始まった・・・





●感想など

本音を垂れ流す主人公が感情を現すすべを失った表紙の月子ちゃんと一緒に建前と本音を取り戻そうと悪戦苦闘する物語。
二人はその呪いのせいで変態王子となって変態扱いをされたり、表情だけでなく声の抑揚もなくしてしまい子供に紙芝居を読んであげることなどができなくなってしまったりと意思の疎通に問題を持ってしまうわけです。
しかし、それらはあくまでも自分から望んだものでした。

自分で望んだ境遇であっても、それを解決しようとする主人公と、そのままでいてもいいと考えている月子ちゃんとの思いのズレがあるわけです。
表に出ているだけではない二人の真意の探り合い、すれ違いをとても上手く描いていて、このすれ違ってどこかに行ってしまいそうな月子ちゃんの手をしっかりと握って離さないところがとても心にぎゅっとくるような可能性を秘めている作品でした。

おそらくイメージ純化でやってた数年前に受賞していたのならば市場でかなりの評価を得たのかもしれませんが、どうにも商業色が出すぎたのか最後まで詰め切らなかったのかなぁという印象があります。

スラングやパロネタを絡めながらも肝心のストーリー部分が埋もれず哀しむ前に声を出せのところまでは個人的には高評価だったものの、それ以降がどうにも荒かった。
そこまでは本当に24の人間が書いたのかと疑うほどの高クオリティだったのにどこか詰められないなぁという印象があった。

この人の場合結構な背景はあるようで、地力もかなりありそうなものの、指定に合わせて軌道修正するほどの器用さはもっていないのかなぁというところか。

まさかオスカー・ワイルドが背景にいるとは思っても見なかったが、アンサイクロペディアンほどのユーモアで勝負するタイプではなく食神よりもこちらの方こそハードカバーに相応しい王道ポテンシャルを秘めているように感じた。
ほんとにね、途中まではギャルゴの再来か、これ以上生殺し要員増やしてどうする!と思って読むんじゃなかったと後悔したこともあったのですが、読み終わってみれば名作にやや届かないところに終わってしまった。
ふと思うのですが、現代モノでアクション以外でパロネタ入ってないのって101だけじゃないのとか思うのですがどうなんだろう。とか言ってみたら倉田くんってパロネタないか。一つのコンセプトに純化した作品の最終血統が倉田くんにならないかと心配だ・・・


食神と本作共通して、程度の差こそあれ上手く作ってるものの最後の最後で逃げているなぁという印象が拭えない。MFの場合は完成度ではなく個性で評価されているところが好きなんだけれど、一見MF選者の良心にみえて変態を見抜いてたのは清水マリコさんじゃなかったのかなぁという疑念が残る。
たしかに面白いことは面白いものの、どこか読後に引っかかることがあってこういう感想を書く際のとっかかりになるようなところが少ないのが今期の特徴か?

ストーリー密度はかなり高めで、登場人物のすれ違いをとても丁寧に、しかも読者を操る程度に狡猾に描けているものの余計なスラングなどで重要な部分がぼけているようにも感じる。
確かにキャラ物としてもかなりの実力がありパパ炉理ノ人レベルのキャラ描写、あるいはセリフに脳内でボイスがつくキャラもいたりでこの部分を評価する声もあるかもしれないが、個人的にはその先へいけるのになぜ二の足を踏むと感じるところがある。


確かに一般受けする内容であろうし、現にとても質が高い、しかし、べた褒めしようといざパソコンに向かうとどこを褒めればいいのかよくわからない。
確かに読めよ、読めばわかる面白いよ、というものなのですがどう面白いの?と返されると、読めよ!としか言えない。

どうにも画竜点睛を欠くようで褒めたいのに褒められない。
この二人はもちっと自分に酔うべきだと私は思う。
いい子すぎで物分りが良いというのは飼い犬としては優秀ですが、自営業者のような自分で何かをしなければならない決定をしなければならない人間にとってはかえってマイナスでしか無い。
とくに良い文章をかけばそれで終わりというわけではなく、人に読ませる小説である以上、自分はこの部分をあなたに押し付けたいのですよ、いいからおれの酒飲めよ!的な傲慢さがなければ読み手としてもどこを中心に読んでいいのかわからない。

行間美とか活字文面のテクニックというのも必要といえば必要なのでしょうが、そのテクニックを使って押し付けるべき演出に今ひとつ欠ける。
他のレーベルでは某油部部長さんがこのへんの部分を熱血指導されていたりという話があったりします。そもそもmfでも従前の作品のあとがきでもそういう指導がされているような話があるので、演出指導がなかったとは考えにくい。
なんとなく妹のわたしなんでもわかってますよぅ、言われんでも分かってますよう、ぷくく的な変な達観がよぎったりして指導をしてものれんに腕押しだったのではという邪推とかしたりしなかったり。

面白いよ、売れるだろうよ、だがMFで賞を取るということは技量ではなく個性を評価されてその個性を発揮する場を与えられたようなものでしょうに。

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読書感想文 2010年6月25日~ | コメント:0 | トラックバック:0 |
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