暫定ブロードキャスティング

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●紫色のクオリア (電撃文庫 ライトノベル)

ゆかりの顔に表情が表れるたびにそれを絵に書き、または鏡に映してみせた。
いま、あなたが自然につくっているものが、『表情』というものなんだよと。



あなたがだれかに、いまの気持ちを伝えるための、とびっきりの手段なんだよと。









あなた、そう、そこの電話をしているあなた。
あなたは誰と話をしているの?

携帯?携帯番号?携帯から出てくる声?電話の向こうで言葉を発している口?・・・


もうひとつ問いかけをしてみよう。

女の子が転んでケガをした。かわいそうですね。痛そうですね。
ある犬がレッドポチと名付けられた。かわいそうですね。痛そうですね。
トカゲのしっぽが切れています。かわいそうですね。痛そうですね。
サンゴが赤潮のせいで死んでしまいます。かわいそうですね。痛そうですね。
赤ちゃんがぬいぐるみの腕をちぎってしまいました。かわいそうですね。痛そうですね。
プラモデルの腕のジョイントが折れてしまいました。かわいそうですね。痛そうですね。
ヘッドホンが断線しました。かわいそうですか?痛そうですか?


どのレベルまで共感できますでしょうか?


痛みというのはだいたい、人格や生き物に付いている感覚です。
レッドポチの痛さというのは非常に哲学的な痛みなのですが、そのあとのトカゲのしっぽは生物だから痛覚的な傷として痛そうだなと思う人はいるかも知れません。サンゴはどうでしょう。一応生き物ですが血を流す動物ではありませんね。お人形さんのなかに人格を見出す女の子というのは結構いると思います。男の中にも少々。

では、プラモデルが壊れてかわいそうと思う人はいったいどれだけいるでしょうか?
ましてや人格はおろか全くの工業製品であるヘッドホンが壊れてかわいそうなどという人が果たして何人いることやら。

しかし、本作のヒロインである毬井ゆかりは人間がロボットに見える目を持っている。
人間とロボットの見分けがつかない。
だからこそ、プラモデルや自転車などのなかに、傷とつながる人格のようなものを見出してしまうのです。

わたしも詳しく勉強したわけではないので下手なことを言いますが、人間もロボットもみな等しく傷つくのはかわいそうで痛そうだ。そう感じられる女の子のおはなしです。

かなりねじ曲げていうと、彼女は肉か鉄かという外形の向こうの人格を直接見ているようなもので、だからこそ、体が鉄だろうが肉だろうがあまり頓着してない人に似ているようなものです。(この人格を見ていない状態を哲学的ゾンビという)

だからこそ、ゆかりは学を見つけ出せてしまったわけです。・・・といっても読んでない人には何が何だか、というものでしょう。



本作はひとつのSLGをセーブ&ロードを繰り返しながら自分の望むシナリオだけをたどろうとするプレイヤーのおはなしなのです。
その主人公であった学(女)はそういう別ルートの自分(並行世界の自分)とチームを組み、武器屋スキルを共有し、ゆかりを運命から救いだそうとするのですがどうしてもうまくいかない。
そして挙句の果てに、物語の中の主人公から、まったく外から物語をみているプレイヤーとなるのです。

肉は愚か鉄の体すら持たなくなってしまった学を、ゆかりが見つけ出すシーンでは思わずホロリとしました。
ゆかりにとって具象的な体などは必要なかったのかもしれません。もしかしたら、彼女は人間の人格を見たあとに、それをロボットっぽく想像して分かりやすくデコードするというめんどくさいことをやっていただけのものなのかもしれません。


SF的な世界観やシナリオ構成というのに目が行きがちですが、本作のタイトルは紫色のクオリアであることから、そして結末からしても、きっとこの作者さんの言いたかったことはこちらの方だと思います。
最終話の挿絵からしてもそんな感じです。


ガチでこういうSFを出せるというのは電撃文庫はすごいなぁとおもいます。
ファンタジーなどは他のレーベルでもよく出ていますが、SFとなると殆ど無いように思います。

お話自体は至ってシンプルなのですが、全くの無駄がないというのがすごい。
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読書感想文 2010年6月25日~ | コメント:0 | トラックバック:0 |
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