暫定ブロードキャスティング

近況: 農業高校ラブコメ 「のうりん」(GA文庫 ライトノベル) は8月12日からきっと大絶賛発売中!!! ちょっと何かに似てるかもしれないけど気にするな!意識してるだけだ!!

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

スポンサー広告 |

「神はあの晩の出来事に気づきもしなかった」  <ウォッチメン>  (洋画)





汝、小さきヒーローよ



汝、敵の名を知るや











神は木を見て森を見なかった

神は森の力を侮った




彼は仮面を脱ぎ捨てた

その時、彼はヒーローではなくなった






そして、ヒーローはいなくなった

それでも、希望の歌は止まない 








たったこれだけの言葉でもかなりネタバレになっています。
(最後の二行は余計だったか?)

アメリカ映画のというよりも、ダークヒーローものの最高峰とでも言うべき名作です。


見て損するものではありませんが、見ない方がいい可能性もあります。





●STORY

冷戦下のアメリカ。
核戦争まであと五分と、核時計が予言する終末の世界。

かつて米国社会の守護者として活躍していたが、その過激な行い故にヒーローでいられなくなったヒーローたちの物語。



ある時、かつてのヒーローひとりであったコメディアンが殺害される。

今やお尋ねものに成り下がってしまったロールシャッハは、その死に疑念を抱きヒーロー狩りを追う。

その過程で明かされる、ヒーローたちの来歴、そして罪。


しかし、どれだけの罪を暴かれようとも、彼らはヒーローであり続ける。

闇に潜むヒーローたちは、人類を終末から救ったのであった。


めでたし、めでたし。


これが昔話なら、そんな風に、終わっただろう。

何一つ、終わりはしないのだ。
やっと、始まるのだ。












●考察

どこを見るのかによって解釈が異なってくるのですがここでは二人のヒーローを対比してみたいと思います。
ライダーマン的なヒーローであるロールシャッハと、本物の超人であるDr.マンハッタンの対比です。

dr.マンハッタンは原子を自由に操る事ができる能力を持ち、仮にソ連からの核攻撃がなされてもその99%の核を無力化できる力を持つような超人です。
この神の如きものは、政府の庇護のもと圧倒的な力によって核への抑止力となっていったのでした。

一方、ただの仮面の男であったロールシャッハはお尋ね者として社会から追われながらも、憎むべき悪を惨殺して回るのです。

かつて、一つのヒーローチームとして栄光のもとにいた二人の歩んだ道は非常に対称的でした。



この二人の道を分けたのは何か?
私は人間を理解していたか否かだと読みました。



冒頭に引用した「神はあの晩の出来事に気づきもしなかった」というセリフは、獄中で過去を語ったロールシャッハのものです。(一時間31分前後) 
さらに続くセリフを引用すると長くなるのですが、彼が関わった凶悪事件で無残に殺された人間を殺したのは人だ、運命でも神でもなんでもないという意味のセリフが続きます。

そして彼は、牢獄にぶち込むだけでは甘かった、とも語るのです。

彼は人間として苦悩し、無残に殺される人々の肉片を手にして思い悩みます。決して最良の選択肢ではなかったのかもしれませんが、執拗に憎むべき悪を惨殺を続けます。彼は妥協しなかった。
その意図したところに私怨がなかったとは言えないでしょうが、それは決して気が触れた故の結果的な行為ではなかったことでしょう。



一方、Dr.マンハッタンは人間に対して無知でした。
特に彼は人間とは違うものになってしまっており、ただ流されるままにその力を振るいます。
彼に感情はなかったわけではないでしょうが、彼の行いに意志はなかった。
その来歴を語るエピソードのほとんどは自らの悲劇を語るもので、ロールシャッハのように他人の痛みに関係するようなところはありません。
無垢といえば聞こえはいいですが、幼稚であったのです。




●以下、致命的なネタバレ。未見の方は回避推奨。





この物語の最終目的は人類の終末の回避です。
そのためにヒーローたちはそれぞれの戦い方で戦うわけです。

結果的に成功したのは、数百万の人間の犠牲と、その生命を奪った人類共通の敵と創り上げるという謀略でした。

結果的に核戦争は回避され、しばしの平和が訪れます。

しかし、ロールシャッハと行動を共にしたナイトオウルは謀略の主を人類を骨抜きにしたと批難します。


結果的に良い方向に転がって得られた平和。


謀略の主であるヒーローは彼なりに苦しんではいたのでしょう、こう切りかえします。

核戦争から人類を救う方法は他にあるのか?>

だれも答えられはしなかった。



しかし、ロールシャッハはすべてはそのヒーローが仕組んだことであると事実を告発し、仮初の平和を崩壊させるためにひとり歩き始めます。彼は妥協しないと言いながら。


そのロールシャッハのまえに立ちふさがったのはだれか?

黒幕ではない、Dr.マンハッタンです。



神は木を見て森を見なかった

神は森の力を侮った




彼は仮面を脱ぎ捨てた

その時、彼はヒーローではなくなった



Dr.マンハッタンが理解していたのは生命の営みというある種の物理的な法則の奇跡でしかない。
一方、ロールシャッハが信じていたのは困難を乗り越えていく人間の意志とその行動でした。


私たちはどちらが正しいのか、答えを知っています。
史実では、ヒーローのいない世界でも人は核戦争の恐怖を乗り越えてきた。
すくなくとも、その恐怖と折り合いをつけながらやってきている。

かたくなに素顔を晒すことを拒んできたロールシャッハが仮面を脱ぎ捨て、人間の顔で咆哮するシーンはすべてを象徴しています。
そのロールシャッハを無残に殺戮するDr.マンハッタンに意志などはなく、そこにはただの合理的な割り切りしかありません。

結局、全ては力なのです。
どんな綺麗事も圧倒的な力の前では全くの無力なのです。

「神にでもなろう」

などと平然と言ってのけるDr.マンハッタンに逆らえるものは何も無い。
力の問題なのだという現実を叩きつけるラストでしめられています。



ええ、力が全てですよね!



ここで、これ見よがしに敷衍されてきた伏線が爆発します。

ロールシャッハの手記がネタが無くなった新聞社に届いているのです。

そこで、物語は終わっています。



ここからは読み手の妄想次第ということになってしまうのですが、結果としてすべての謀略は白日のもとにさらされるのかもしれません。
かなり、強引な解釈ですが、圧倒的な暴力が手記を残すという人間の営みに足元を救われている。日本語ではしたたかさと表現されるものかもしれませんが、ロールシャッハは誰かに読んでもらうために手記を書いていたというのも非常に印象的でした。

彼だけは人間を信じていたのです。それだけは妥協しなかった。



世界の趨勢は振出しに戻ってしまったのに、もう超人的なヒーローはいなくなってしまいました。が、それでも世界は回っていくのでしょう。


そして、ヒーローはいなくなった

それでも、希望の歌は止まない 









●感想
本作ではDr.マンハッタンは悪役みたいな感じになってるんですが原作でもこんな感じなのだろうか?報われなさすぎる。結局厄介払いされて終わりとも言えるし。

映像の作り方とかを見てみるとかなり強烈。
基本暗めながらもテンポが良く、刑務所でトイレのドアがスイングするたびに情景が異なっているところとか神がかり過ぎ。
ただ、全体で見れば自分に酔っているタイプではないような気がした。
見せるべきもんを徹底的に魅せつけるような絵面ばかりなのに作為的なところが殆ど無いというのもなんというかすごい。
ただ、ちょっとアメコミそのまんまで不謹慎ながらくすくすとするシーンもあり。
音もほぼ違和感なし。選曲が良く時代を表していたような気がする。(私にオールディーズの知識はない)



視聴後の感想なんですが、たぶん100点満点の出来なんでしょうが、なんとなく属性的に傑作選に入れなかった。
単純な燃え要素だけで言えば、これはダークヒーローものといってもどちらかと言えばヒューマンドラマより。

映画媒体というのもあるんでしょうが、何か怖すぎた。

なんども見返せるほどの魅力はあるけれど、辛すぎる。


そう言うのもあるんですが、日本のサブカルというのはあとは想像してね♥ふふん♪という感じではなくて結構後日譚まで書いてしまうので後ワンカットくらい欲しかったかなぁとおもう。

和を以て貴しと為す

とかかね?

ただ、作品だけの話として終わらせずに現実との対比を求めているような感じもするので結局こういう事は余計なお世話なんかなぁとも思う。

まったく関係の無い話ですが紹介フレーズの最後の一行だけは霜月はるかさんの泡沫からインスパイヤ。
あまり関係がなかった。なんかいい締めをと思ったんですが・・・


STORYのとこの、めでたし、めでたし。以降はこの広い世界にふたりぼっち一巻から。







まあ、なんというかえぐすぎ。

ただ、そういうえぐさを含めて人物描写をできるというのは正直スゴイなぁと思う。
今日、レンタル開始らしいシャーロック・ホームズも人物描写ではかなりのものを持っていたけれど、核心部分を直接つくような感じの作品は強烈すぎる。

ただ、壮大な悲劇を背景にしなくても人物を書くことができるということは忘れてはいけないような気がする。








吾、汝・『監視者』以外の敵を知らず

ただ、彼らの歩みを見守るものなり

by watch men





スポンサーサイト
読書感想文 2010年6月25日~ | コメント:0 | トラックバック:0 |
<<タイトルなし | ホーム | ●新ジャンル 痛かわゆい>>

コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

| ホーム |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。