胸の奥の歯車が錆びた太陽のように軋んで、欠けたことにすらも気づかず/扉をたたく人2009-08-02 Sun 23:52
名作。以上。
原題は "The Visitor" 直訳すれば訪問者、しかし扉をたたく人と言う邦題一つですべてを表現した人のセンスには感服せざるを得ない。 扉の向こうから聞こえてきた音や、人の声に惹かれてドアを開けて進むものの最後の友人が連れて行かれた扉だけはどれだけたたいても開くことはなかった。 一見穏やかに見えるヒューマンドラマのようであって実は手が痛くなるほどにジャンベをたたくウォルターはその手に怒りややるせなさを込めてたたき続けている。 演出について秀逸なのは社会描写である。たとえば駅の中で胡弓のようなものを演奏する中国人に対してここで演奏すれば稼げるというタレクの発言の裏には自身の境遇や場所代、縄張りとかそういうものがあったのであろうし、弁護士に対して投げかけられたWhere are you from ?という問いに対し拘置所の名が返ってくるシーン、売店に数多く並べられた数多の言語ごとの新聞、数えればきりがないがおそらくはあれが向こうの社会なのであろう。 流民の問題を背景に、引きこもってさえいれば出会うことのなかった喜びや怒りにぶち当たる老年。 御伽噺ではあろうがハッピーエンドではない。 音楽も秀逸で聴いていて楽しい。音の分離に注意して聞いてみるときれいに分離させていることがわかる。 映画館で見れるうちに見ておきたい映画だと思う。 スポンサーサイト
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