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暫定ブロードキャスティング

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★★★煉獄姫 第四幕 (電撃文庫 ライトノベル)



煉獄姫 第四幕




序章 手なし娘の邪智              

第一章 未だ時は緩やかに                                

                 第二章 ゆるゆると橈骨を撫でよ

第三章 川はやがて濁りゆく               

第四章 狂える菖蒲と怒れる胡蝶花

第五章 革命前夜

第六章 爛々と光る暗闇に臨む                      

第七章 銃弾、祈り、蛇の群れ          









                          第八章 そして深淵が牙を剥く   



                                     終章 骨の歌を聴け



  







●STORY

一つ目の賽は投げられた














●感想など

久しぶりに本を読んでてワクワクした。
上へ上へと揚げていくタイプではなくただひたすらに深く深く掘り込んでいく筆致。キャラの相性というのもあるんだろうけどユヴィとキリエの書き方は鳥肌もんだった。
幼少期にスコップを使って砂場とかの柔らかい地面を掘り返していたら粘質の層に行き着いて、刃先でつついて見てもブヨブヨとして柔らかいんだけど削れない、そういう硬さに初めて触れた時の恐怖のようなものに近い質感に満ちあふれた巻でした。しかしこの読後感の良さは奇跡。



その掘り込み具合にも様々なものがあって砂場の砂のような浅くすぐに硬いコンクリートの底に突き当たる、言ってしまえば子供なキアスのようなものたちもいれば底の知れない奴ら・・・のほうが多い。しかしどこまで掘っても奥底に潜むものは光源のように感じはするもののどこまで行ってもたどり着けそうにない。
ただこう言うすでに深いものを秘めた者たちとの対比で見ることによって、未だ浅い人々というものは芽吹いたばかりの希望のようにも見えるわけだが、その手の解釈をことさらに強調することもなくただ一つの事件という舞台に並べるだけで目を逸らせない事実として提示するにとどめているのがイカス。たぶん変に強調するように解釈言語を並べるようなタイプでは絶対に表現不可能な侘び数寄の極地なのかもしれんなと思う。特にP175からのユヴィとメネレックの件は至高。

"かつて行く先を同じくしていた彼の夢はもはや自分の夢のはるか後方に霞んでしまったということなのだろう。"P181

へ至るまでの逡巡は深く沈んでいく人間の目線で、途中で沈むのを忘れた者とその背後に控えた世界とを俯瞰するような憎悪を投げかけてももはや届かないだろうなという諦念、一方ではその距離など物ともしないほどの深淵がよく現れていた。この深遠がなんなのか、本当に怒りなのか怒りのように自覚はしているものの果たしてそれは私達が知る怒りと等価なものですらないのかも知れない。

していること、考えていることはわかるのに理解できない。それが何につながるものなのか、そしてそれが指し示すものがわからない。これが一番の牽引力そして深みを担っている。


一方でキリエの方は意外と人間らしい狂気で超常的な暴力を持たないがゆえにその悪意はどこにでもありる普遍的なものでしか無い、だからこその恐ろしさがある。注ネタバレ個人的にはスナイパーの目を抉り出す(しかも片目で利き目)よりも先にP250が白紙だった所がたまたまななんだろうけど恐怖に映ってその後にこの描写が来て悪意を、あなたに、あげる で追加描写したところが凄く効いていた。ローウェンの雛グループは立ち位置的には独立してはいるもののどこか似た所で人間よりも人間臭いところが全体をうまく繋ぐ楔になっているように思う。ただの悪意は死んでも怨霊になってラップ音くらいで精神攻撃するしか無いのかも知れないがキリエの悪意は潰えることはないからね。


極端な例で言えばこの二人が突出してはいるものの、本作の面白い所はいろんな深みを持っている人物が同一の舞台に立たされるというところに尽きるだろう。深みと力は必ずしも併存しない、信念を持つものもいれば、信念というにはあまりにも幼すぎるものもいる、しかしその人物たちは二極化しているわけではなくそれぞれに深度が異なるのでありまたその形も違う。悪という評価を受けるか善の評価をうけるかはそれを見ている人間の評価にすぎない。人の目玉を繰り抜くことは悪であろうか、私はライフルで頭をふっ飛ばされたというのに、という思考はそもそもない。剣で首を落とされたのならば報復は効き手の親指を落とす程度だったのかもしれないし。そこにあるのは悪意であって悪ではない。一番嫌なことをされたから相手の一番嫌な事をした、それだけのことである。ただ信念というには幼すぎるものが深いものに傷をつけ得たのもまた事実。




今回特徴的なところを揚げてみたらこういう書き方になってしまったけど、そんなこんなで4巻か、たった四巻にしては重厚さが圧倒的だなぁと思う。これで破綻しないというのが凄い上にようやく物語本体が動くのか?次は春か夏・・・3月は春にはいるのでしょうか?

二巻の引きからするとイパーシを三巻で使うものかと思ってたけどまさか一巻休んで大出世を果たすとは、単なる一被害者がここまで出世するというのもある意味でロマンだよなぁと思う。大筋で言えばフォグとアルト、ユヴィ、そしてイパーシ・トリエラの3つ流れがあるんだけど政治部門という舞台の影の方ではキアス関係で流れが出てくると広がり過ぎか?現段階でどこまで構築してるのかわからないけど壁というものを意識しだしたというところからなにかやらかしそうなという意味で引きになってそう。
一巻二巻で世界観構築をしっかりやってるから脳内変換がし易いんだけど、今回はそういった情景描写部分があっさりしてたのに違和感がないというのはたぶんこういった先行投資が確実に効いてきたというのもあるんだろうけど余計なものが抜け落ちてきたというのもあるんだろうなぁと思う。


アルトがだんだんと可愛くなっていく、もとい自立し始めたところもまた物語本流の伏線なんだろうけど最終的にはアルトの物語に帰結するはずだろうからこのへんを早すぎず遅すぎず展開していくところが多分この世界における一番の厄災の種なのかも知れないような気がしないでもない。

何はともあれ半年待てるシリーズがあるというのも悪くないと思う11月。


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読書感想文 2010年6月25日~ | コメント:0 | トラックバック:0 |
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